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ゆうあい工房

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乳ガン検診


■第1章:乳房のしこりが見つかったとき


1. 乳ガンの診断の手順

・まず問診・触診を行う・必要に応じて画像診断(乳房レントゲン撮影、超音波検査)をする。

・それでも診断できなければ、穿刺吸引細胞診、組織生検(針生検、外科的生検)を行う。

・最小限の診断検査によって確定診断することが必要です。

・乳ガン診断は迅速に行われるべきで、患者さんはその検査内容や結果について十分な説明を受ける権利があります。

・たとえ乳ガンが見つからなくても、症例によっては慎重な経過観察が必要です(信頼度4)。

2. 問診・触診

 問診では医師が次のことを確認します。

・腫瘤に気付いてからどのくらいの期間か?

・その期間に何か変化が生じたか?

・以前に乳腺の病気になったことがあるか?

・その治療をしたことがあるか?

 乳ガンの危険因子(かかりやすくなる要因)(信頼度3)

・以前、生検によって異型乳管上皮や非浸潤ガンが証明されたことがある。

・対側の乳ガン手術の既往がある。

・小児期にホジキン病の放射線治療を胸部に受けたことがある。

・家系内における乳ガン患者の多発がある。

・乳ガンの危険性は年齢とともに上昇します。

 実際には乳ガンに罹患した女性の多くは特に危険因子を持っていませんし、危険因子を持つ女性全てに乳ガンが発生するわけでもありません。

 乳ガンの症状乳頭・乳輪部の皮膚炎:しばしば乳ガンの一種(パジェット病)が原因で起きます。皮膚科的治療で治らない乳頭・乳輪部の皮膚炎様病変は、生検をしたほうがよいでしょう。

腫瘤:平滑で境界鮮明な腫瘤は通常良性です(信頼度4)。閉経前の女性の触診は最終月経開始後1週間後に診察するのが最も良いといわれています(信頼度4)。

乳頭分泌:乳ガンでも生じますが、実際に乳ガンであることは全体の4~21%にすぎません。乳頭分泌が非血性のときや両側性のときは乳ガンの可能性はほとんどありません。

痛み:乳ガンは痛いことも痛くないこともあります。

 乳腺の代表的な良性腫瘤

線維腺腫:触診上は丸く境界明瞭で、弾性があり、可動性に富んでいます。この腫瘤は10代以後の若い女性に多く発症します。

乳腺症:多くは痛みを訴えます。疼痛は周期的で排卵時に始まり、月経開始時まで増強し、すぐに消失します。痛みの持続はほんの 2~3日の場合もあれば、2~3週間のこともあります。通常は左右対称性に生じ、乳房の外側上方に最も多く起きます。良性や悪性の腫瘤はいずれも、より境界が明瞭ですが、乳腺症ははっきりとした境界を持ちません。

嚢胞:嚢胞は丸く、境界明瞭で可動性があるように触れます。疼痛や圧痛を有することがあり、本来は柔らかいのに液体が緊満すると固くなることがあります。線維腺腫よりも少し年齢を増した、30~40歳代に発症します。

 診察で良性と悪性とを鑑別できるかは、診察医の専門性と経験しだいです。経験ある診断医(乳ガン専門医)によれば問診と触診だけで、他のよけいな検査をしなくても診断が可能です。

3. 画像診断と細胞診

乳房レントゲン撮影(マンモグラフィー):腫瘤の良悪性を明らかにするだけでなく、しばしば両側乳房にひそむ非触知乳ガンを発見できます。

超音波検査:乳房に侵襲を与えることなく、腫瘤が充実性か嚢胞性か区別することが可能です(信頼度3、4)。ときには腫瘤の良悪性を区別するための所見が得られます。

細胞診:注射器で穿刺吸引することにより、腫瘤が充実性か嚢胞性かが明らかになります。また採取された細胞の良悪性について細胞診検査を行うことができます。透明、うす茶色、あるいは灰緑色の液体が引けて腫瘤が完全に消失するときは、単なる嚢胞と診断されます。血性でない液体は例外なく良性なので、検査に提出する必要はありません。(信頼度3)。

 専門医の診察、乳房レントゲン、細胞診の全てで乳ガンが疑われる場合、乳ガンである確率は99%以上です。3つの検査の結果がいずれも良性である場合は、乳ガンが発見される確率は0.5%以下に過ぎません。

 サーモグラフィーや光透過法は診断法としては勧められません(信頼度1)。MRIの診断的価値はいまだ検討段階なので通常検査として施行されるべきではありません。

4. 生検

 以上の診断によっても、腫瘤の良悪性の判断がつかない場合には、生検を施行すべきです。生検には外科的生検と針生検があります。

外科的生検:周囲の正常組織と共に腫瘤を一塊として切除し、外科生検を行う場合は、腫瘍の取り残しがないように完全な腫瘤切除術を行うべきです。

針生検(core needle biopsy: CNB):専用の針を用いて、手さぐりまたは乳房レントゲンや超音波検査装置の観察下で組織を採取する方法です。穿刺吸引細胞診と針生検は、わざわざ外科生検をしなくても手術計画に必要な信頼できる情報を提供してくれます。針生検の針が通過した組織にガンがばらまかれたという報告はありません。



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